サウナ室の温度計を見て、不思議に思ったことはありませんか?
「昔ながらのサウナは100℃を超えているのに、なぜか長く入っていられる」
「逆に、最近のフィンランド式サウナは80℃くらいなのに、ロウリュを受けると逃げ出したくなるほど熱い」
「温度が低いほうが熱い」なんて、不思議ですよね。
実はこれ、気のせいではありません。「熱の伝わり方」が物理的に全く違うからなんです。
今回は、日本のサウナを代表する「昭和ストロング」と「フィンランド式」、それぞれの熱さの秘密を、難しい数式抜きでわかりやすく解説します。
1. 昭和ストロング:カラカラで「突き刺さる」熱さ
特徴:100℃超えでも火傷しない理由
日本の高度経済成長期から愛される、いわゆる「昭和ストロングスタイル」。
特徴は「とにかく高温(100℃以上)」で「湿度が低い(カラカラ)」ことです。
このサウナの熱源は、電気ストーブやガス遠赤外線ヒーター。「遠赤外線」は、太陽の光や焚き火と同じです。空気を温めるだけでなく、熱のビームが直接肌に突き刺さるイメージを持ってください。
- なぜ耐えられるの?空気が乾燥しているからです。汗をかいた瞬間にパッと乾くので、その時に熱を奪って肌を冷やしてくれます(打ち水と同じ原理)。だから120℃でも火傷せずに我慢できるのです。
このタイプを体感できる代表的施設
理屈よりも体感! この「突き刺さる熱」を味わえる名店を紹介します。
① レインボー本八幡(千葉県市川市)
〜130℃の熱が上から降ってくる〜
温度計が130℃を指すこともある激熱サウナ。
熱い空気は軽いので天井付近に溜まります。ここの3段目の席は天井スレスレ。
対流する熱風と、熱くなった壁からの放射熱で、全身が「ジリジリと焼ける」ような感覚を味わえます。昭和ストロングの最高峰です。
② 大垣サウナ(岐阜県大垣市)
〜前から来る熱、後ろは涼しい?〜
110℃のガスストーブが鎮座する名店。
遠赤外線は光のように真っ直ぐ進むので、ストーブに向いている体の前面だけが強烈に熱くなります。
「前はチリチリ、背中は少しマイルド」という温度差が刺激的。限界まで温まってから「奇跡の水風呂」に入ると、血管が一気に反応して最高に気持ちよくなれます。
③ サウナ東京(東京都港区)
〜最新技術で蘇った昭和の熱〜
新しい施設ですが、あえて「昭和遠赤」という名前のサウナ室があります。
最新の特注ストーブを使って、昭和特有の「肌を刺すような熱」を再現しています。テレビを見ながら、カラッとした熱さに耐える。あの懐かしい我慢比べを、清潔な最新設備で体験できます。
④ ロスコ(東京都北区)
〜寝転ぶと熱の感じ方が変わる〜
ここはサウナ室で「寝転べる」のが特徴。
寝転ぶと、全身が同じ高さになるので熱のムラがなくなります。また、背中がベンチにくっつくので、背中からも熱が伝わってきます。
110℃の熱気の中でリラックスして寝転ぶという、背徳感と爽快感が味わえます。
2. フィンランド式:しっとりと「包み込む」熱さ
特徴:80℃なのに汗が止まらない理由
近年のサウナブームで定着した、サウナストーンに水をかける(ロウリュ)スタイル。
特徴は「温度はそこそこ(80〜90℃)」で「湿度が高い(しっとり)」ことです。
ここの主役は「蒸気」です。ロウリュをすると、熱い蒸気が発生します。
実は、蒸気(水)は空気よりもはるかに多くの熱エネルギーを持っています。
蒸気が肌に触れて「水滴」に戻る瞬間、持っていた熱を一気に肌に放出します。これがロウリュの時に感じる「熱の壁」の正体です。
- なぜあんなに熱いの?湿度が高いと、汗が乾きません。つまり、昭和ストロングのように「汗が乾いて肌を冷やす」というガード機能が使えないのです。逃げ場のない熱が、体の芯までズッシリと染み込んできます。
このタイプを体感できる代表的施設
「蒸気」の気持ちよさを最大限に引き出している名店です。
① The Sauna(長野県信濃町)
〜自然な空気の流れに身を任せる〜
薪ストーブを使った、本場フィンランドのような小屋。
機械的なファンを使わず、自然な空気の流れで温まります。ロウリュした蒸気が、天井からゆっくりと降りてきて、優しく全身を包み込みます。
肌が痛くならず、呼吸も楽なのに、体の芯からポカポカになる「優しい熱」です。
② スカイスパYOKOHAMA(神奈川県横浜市)
〜風の力で熱を叩き込む〜
ここでは「アウフグース」という、タオルで仰ぐパフォーマンスが大人気。
ロウリュで発生した熱い蒸気を、風で無理やり肌にぶつけます。
ただでさえ熱い蒸気を風で叩きつけられるので、体感温度は急上昇! 80℃台でも、終わる頃にはフラフラになるほどの熱量を受け取れます。
③ ニューウイング(東京都墨田区)
〜見えない熱源が生む湿度の海〜
ベンチの下にヒーターが隠れている「ボナサーム」という形式。
熱源が見えないので直接的な熱さは感じませんが、常に湿度が高く保たれています。
どこに座ってもムラがなく、全身が「温かい湿度の毛布」にくるまれているような感覚。気づけば玉のような汗がびっしり出ています。
3. 規格外の熱さ:しきじの薬草サウナ
サウナしきじ(静岡県静岡市)
〜60℃なのに日本一熱い?〜
最後に紹介するのは、静岡の聖地「しきじ」の薬草サウナ。
温度計はたったの60℃。でも、体感は120℃の昭和サウナより熱いと言われます。
理由は「湿度がほぼ100%」だから。
床下からスチームが噴き出しており、サウナ室全体が真っ白な蒸気で満たされています。
汗は一切乾かない(冷却ゼロ)うえに、大量の蒸気が肌に触れ続けて熱を出し続ける(加熱マックス)。
「熱湯風呂に入っているのと同じ状態」が空気中で起きていると思ってください。火傷スレスレの刺激的な体験です。
4. まとめ:その日の気分で使い分けよう
「温度」と「湿度」のバランスで、体感はここまで変わります。
| 特徴 | 昭和ストロング系 | フィンランド・モダン系 | しきじ薬草系(スチーム) |
| 温度 / 湿度 | 100〜120℃ / カラカラ | 80〜90℃ / しっとり | 60℃ / ビショビショ |
| 熱の正体 | 遠赤外線 (突き刺さるビーム) | 水蒸気 (包み込む粒子) | 飽和水蒸気 (熱湯のような空気) |
| 感じ方 | ジリジリ、チリチリ (表面が熱い) | ムワッ、ズッシリ (芯まで来る) | アチチチ! (全身が熱い) |
| 汗 | すぐ乾くのでサラサラ | 結露と混ざって玉の汗 | 結露で全身ずぶ濡れ |
| おすすめ | シャキッと目を覚ましたい時 | じっくり癒やされたい時 | 非日常の刺激が欲しい時 |
「今日はスカッとしたいから、レインボーで昭和の熱を浴びよう」
「疲れているから、The Saunaで蒸気に癒やされよう」
こんな風に、温度計の数字だけでなく「熱の質」でサウナを選べるようになると、あなたのサウナライフはもっと楽しくなるはずです!


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