こんにちは!サウナに行くと、サ室の温度より水風呂の水質成分表を先に見てしまう、サウナマニアのおれっちです。
サウナーの皆さん、こんな経験ありませんか?
「家のシャワーで浴びる水(18℃)は冷たくてツライのに、サウナ施設の水風呂(16℃)はずっと入っていられる…」 「同じ温度計の表示なのに、A店の水風呂は刺すように痛くて、B店の天然水は体に吸い付くように気持ちいい!」
これ、単なる「雰囲気」や「プラシーボ効果(気のせい)」じゃありません。実は、そこには明確な科学的理由があるんです。
今回は、私たちが普段使っている「水道水」と、サウナの聖地と呼ばれる施設の「名水」の違いについて、ちょっとマニアックに、でも分かりやすく解説します。
決定的な違い①:「痛み」の正体は塩素(カルキ)だった!
まず結論から言います。「普通の水道水」と「名水」の最大の違い、それは残留塩素(カルキ)の有無です。
日本の水道水は世界一安全と言われますが、その安全を守るために必ず「塩素」が含まれています。細菌を殺すための塩素ですが、悲しいことに、私たちの皮膚バリア(脂質)も攻撃してしまうんです。
なぜ水道水は「ピリピリ」するの?
- 肌への攻撃: 塩素は酸化作用が強く、肌の表面を乾燥させ、微細なダメージを与えます。これが「キシキシ感」や「突っ張り」の原因。
- センサーの誤作動: 皮膚には「痛み」や「化学刺激」を感じるセンサー(侵害受容器)があります。塩素がここを刺激することで、脳は「冷たい」という信号に「痛い!」という信号を上乗せして受け取ります。
これが、水道水の水風呂が「刺すような冷たさ(Biting Cold)」に感じる正体です。
一方、「しきじ」や「スパ・アルプス」のような天然地下水かけ流しの施設には、この塩素が含まれていません。だから、余計な「痛み信号」が脳に行かず、純粋な「冷たさ」と「水圧」だけを感じられる。これが「水が柔らかい」と感じる一番の理由です。
Point: 自宅のお風呂をサウナレベルにするなら、ビタミンC(アスコルビン酸)を少し入れるだけで塩素が中和され、お湯や水が劇的にまろやかになりますよ!
決定的な違い②:硬度は「テクスチャ(肌触り)」を決めるスパイス
「軟水=良くて、硬水=悪い」と思っていませんか? 実はこれ、サウナにおいては半分正解で半分間違いなんです。
硬度とは、水に含まれるミネラル(カルシウムやマグネシウム)の量のこと。これが水風呂の「性格」を決めます。
誤解されがちな「硬度」の魔法
サウナ界のレジェンド施設を例に見てみましょう。
| 施設名 | 硬度 | タイプ | 肌触りの特徴 |
| The Sauna (長野) | 約20 mg/L | 超軟水 | トロトロ、肌に溶ける、羽衣ができやすい |
| スパ・アルプス (富山) | 67 mg/L | 軟水 | スッキリ、清涼感、飲みやすい |
| サウナしきじ (静岡) | 84 mg/L | 中硬水 | まろやかだけど芯がある、バランス型 |
| 神戸クアハウス (兵庫) | 113 mg/L | 硬水 | キリッと引き締まる、ガツンとくる |
実は、「しきじ」や「神戸クアハウス」の水は、数値上は意外と硬いんです!(※日本の水道水の平均は約49mg/L)。
硬度が作り出す「快感」の違い
- 軟水(ミネラル少): 皮膚の脂分と馴染みやすく、摩擦が少ないため「ヌルヌル」「トロトロ」と感じます。優しく包まれたい派におすすめ。
- 中硬水・硬水(ミネラル多): カルシウムイオンが肌をキュッと引き締める(収斂作用)ため、「キレがある」「パリッとする」と感じます。シャキッとリフレッシュしたい派におすすめ。
【結論】 「硬度が高いからダメ」ではなく、「塩素がない状態での適度なミネラルは、心地よい刺激(キレ)になる」ということ。 水道水の硬度が高いと「キシキシ」して不快なのは、そこに「塩素のダメージ」が加わっているからなんです。
決定的な違い③:温度の「質」と「羽衣」
もう一つ、忘れてはいけないのが「温度の安定性」と「水流」です。
チラー(冷却機)vs 天然の冷たさ
- 水道水(チラー冷却): 無理やり冷やしているため、場所によって温度ムラがあったり、冷たさが鋭角的になりがち。
- 天然地下水: 年間を通して一定(14〜16℃など)の温度。地球が冷やしてくれた水は、熱力学的に安定していて肌馴染みが良いと言われています。
羽衣(はごろも)を纏うには?
サウナ用語の「羽衣」とは、体の表面にできる薄〜い「ぬるい水の膜(温度境界層)」のこと。 天然水かけ流しの水風呂は、水流が穏やかなことが多く、この羽衣が壊れにくいため、いつまでも入っていられる「母胎回帰」のような感覚になります。
逆に、ジェット水流やバイブラ(泡)がある水風呂は、羽衣を強制的に剥がしに来るので、キンキンに冷やしたい時には最高ですが、「まろやかさ」とは対極にあります。
【おまけ】東京の水道水は意外と「硬い」?
「うちは都会だから水が美味しくない…」と思っている方。実は、東京や千葉、埼玉などの関東エリアの水道水は、硬度が60〜80mg/Lと、国内では高めなんです(沖縄はもっと高いです)。
これは地層の影響ですが、この「そこそこの硬度」に「塩素」が加わることで、どうしても肌触りが「重く、刺激的」になりがち。 逆に、北海道や広島などは硬度が低く(20〜30mg/L)、水道水でもサラサラしています。
まとめ:最高の水風呂の方程式
長くなりましたが、まとめると「気持ちいい水風呂」の正体はこうなります。
- 【必須条件】脱塩素(No Chlorine)
- これが全ての基本。痛みをなくし、水の感触をダイレクトに伝える。
- 【好みの条件】硬度(Texture)
- 優しさなら「軟水」(アルプス、The Sauna)。
- キレとコクなら「中硬水」(しきじ、神戸クアハウス)。
- 【環境条件】水流と温度(Condition)
- 羽衣を作れる穏やかな流れと、安定した水温。
次にサウナに行くときは、ぜひ「この水はトロトロ系かな? キリッと系かな?」と肌の感覚を研ぎ澄ませてみてください。 ただ冷たいだけじゃない、水の個性が分かると、ととのいの深さが変わりますよ!
それでは、よいサウナライフを!

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